ゴミ屋敷への行政の対応って?
と気になっている方もいるでしょう。
ゴミ屋敷は、家から溢れるゴミや悪臭のせいで近隣住民に迷惑をかけることが多いです。ゴミ屋敷の近くに住んでいる人からすれば、一刻も早く改善してほしいと思うでしょう。
ゴミ屋敷について気になるのが、行政がどのように対応してくれるのか、ということかもしれません。
ゴミ屋敷に関する条例や福祉的な支援について、なんとなく聞いたことはあるけど詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか?
今回の記事では
- ゴミ屋敷に関する行政の相談窓口について
- ゴミ屋敷の法律や条例
- ゴミ屋敷に対する福祉的支援
について徹底的に解説します。ゴミ屋敷に悩まされている方はぜひ参考にしてください。
目次
行政ではゴミ屋敷の相談窓口を設けている
ゴミ屋敷は今や社会問題の一つであり、解決するために行政も様々な策を練っているようです。
行政には、ゴミ屋敷に悩んでいたり困らされている方に向けた相談窓口があります。相談をした場合、まずはゴミ屋敷の住人へ指導を行ってくれます。
ゴミ屋敷の実態を知るために近隣住民から聞き取り調査を行い、その情報をもとにゴミ屋敷の住人へ、解決に向けた指導を行ってくれるとのこと。
ゴミ屋敷の原因を洗い出し、家主の状態によっては専門の医療機関や相談機関へ繋げてくれるそうです。
住民への指導やサポートで解決しなければ、次の段階に進みます。
行政が、このままの状態が続けば強制的にゴミを処分する、という内容を文章で警告します。
これは戒告であり強制力はありません。この文章を受けても状況が改善されない時に実行されるのが、行政代執行という処分です。
ゴミ屋敷における行政代執行とは
指導や戒告によってもゴミ屋敷が改善されない場合、行政代執行が行われます。
行政代執行では、行政が強制的にゴミ屋敷のゴミを撤去されます。
厳しい審査に基づいて執行を行うか否かが判断されるので、行うことが確定されれば、よっぽどのことがない限り覆ることはありません。
行政代執行の実施が決まれば、ゴミ屋敷の住人に止める手立てはないのです。
行政執行の事例と費用
ゴミ屋敷に対する行政代執行が初めて行われたのは2015年です。
京都府にあったゴミ屋敷を対象に行われました。このゴミ屋敷は、行政が150回以上も指導したにもかかわらず改善が見られなかったため、行政代執行の対象になったようです。
行政代執行にかかった費用は、ゴミ屋敷の住人に支払い義務が生じます。先に行政が立て替えて、実際にかかった費用を後から請求する仕組みです。
仮に支払い要請を無視したとしても、税金の滞納と同様に、差し押さえなどの処分が行われます。
ゴミ屋敷が触れてしまう条例・法律の例
実は、ゴミ屋敷に関する直接的な法律はまだ存在しません。
各市町村が独自の条例を掲げているのが現状のようです。ゴミ屋敷に悩んでいる方は、自分が住んでいる市町村の条例について確認してみると良いでしょう。
以下に、代表的な都市の条例をご紹介します。
大阪府大阪市
大阪市にあるゴミ屋敷に関する条例は「大阪市住居における物品の堆積による不良な状態の適正化に関する条例」です。
この条例で定められている「不良な状態」は、ゴミの堆積により害虫や害獣、悪臭の発生、そして火災の危険性がある状態のことを指します。
ゴミ屋敷の住民に対しては調査を行った後に指導や勧告を行い、改善が見られない場合は命令を経由して行政代執行が行われます。
また、一戸建てだけでなくアパートやマンションにも配慮されているのが特徴です。なので、マンションの階段や廊下などの共用部分にゴミが蓄積している場合も条例が適応されます。
さらに、ゴミ屋敷の住人がゴミを処分しやすくなるように、費用面でのサポートも行なっています。
最大100万円の補助により、住民は民間の不用品回収業者やハウスクリーニング業者に依頼をすることもできます。
東京都足立区
東京都の足立区では「足立区生活環境の保全に関する条例」に基づいてゴミ屋敷に対応しています。
この条例では、ゴミ屋敷の住民のサポートに重点を置き、各関係機関との連携を重視しているようです。
愛知県豊田市
愛知県豊田市には「豊田市不良な生活環境を解消するための条例」があります。
この条例は、ゴミ屋敷だけでなく動物の飼育崩壊や木や草が大量に伸びている家も対象になります。
豊田市の条例では、ゴミ屋敷に対する支援策や措置が明確に示されており、ゴミ屋敷の住民地域で孤立するのを防ぐように工夫されています。
強制代執行を行った場合の費用はゴミ屋敷の住民に請求されますが、ゴミの蓄積に精神的や肉体的な原因が絡む場合は免除されることもあるようです。
ゴミ屋敷が親族や身内の場合は他の解決策を
身内にゴミ屋敷に住人がいる場合はどうすれば良いのでしょうか。
行政が対応してくれるのは、あくまで他人のゴミ屋敷によって迷惑を被っている時のみです。
身内のゴミ屋敷を解決したいのなら、行政ではなく他の方法を探した方が良いでしょう。
おすすめなのが、不用品回収業者です。
費用はかかりますが、大量にあるゴミを一括で回収してくれるた分別などの手間がかかりません。ゴミ屋敷を一気に片付けることができるので、身内のゴミ屋敷の対応にあまり時間をかけられない方に向いているでしょう。
最近では、ゴミ屋敷に特化している業者や、ハウスクリーニングのサービスも行う業者も増えているため、より一層便利になっています。
身内のゴミ屋敷に悩んでいる方は、不用品回収業者の利用を検討してみてください。
ゴミ屋敷の住人に対して福祉的支援を行なっている自治体も
一部の自治体では、ゴミ屋敷の住人に対して福祉的支援も行っています。
例えば京都市では、ゴミ屋市の住人の心身状態が低下していると判断した時は、治療のための関係機関につなげるといった取り組みを行っています。
神奈川県の横須賀市では、ゴミ屋敷の住人のSOSを察知し、適した支援を提供しています。保健師やケースワーカーがゴミ屋敷を訪問したり、時には精神的治療にも繋げているようです。
見守りも積極的に行い、本人に寄り添った支援を心掛けているとのことです。
ゴミ屋敷に対してやってはいけないこと
近隣にゴミ屋敷がある場合、害虫や悪臭による被害から、ついつい住民本人に不満をぶつけたり解決に向けて強制的に動きたくなるものです。
しかし、そういった対処法は決して行ってはいけません。
住民とのトラブルにつながる上に、関係がこじれてしまいゴミ屋敷の被害が増してしまう危険性があるからです。
今回の記事の最後に、ゴミ屋敷の住人に対して、特にやってはいけないことを2つご紹介します。
ゴミ屋敷の住人と喧嘩してしまう
ゴミ屋敷の住人に文句を言ってしまったり喧嘩腰に話してしまう気持ちはとてもよくわかります。
しかし、住人に強く注意したとしても、事態は何も改善しません。
むしろ、住人と喧嘩になってしまうことで相手の反発心が強くなってしまい、ゴミを余計に溜め込んでしまうことすらあります。ゴミを片付けて欲しいのに、片付けを拒まれてしまっては元も子もありません。
勝手に片付けてしまう
ゴミ屋敷の程度が酷くなると、ゴミが家から溢れ出して、道路や自分の敷地にまで浸食することもあるでしょう。
ゴミが家から溢れているからといって、勝手にゴミを片付けたり処分するのは避けましょう。
他人からはゴミにしか見えなくても、本人からすれば大切なもののこともあります。
また、大切なものではなかったとしても、そのゴミはゴミ屋敷の住人の所有物です。他人の所有物を勝手に処分してしまうのはトラブルの原因ですし、場合によっては罪に問われることもあります。
道路や自分の敷地内にゴミが溢れている場合も、勝手に処分したくなる気持ちをぐっとこらえて、行政の相談窓口に相談するようにしましょう。
マンションやアパートなどの集合住宅に住んでいるのなら、大家や管理人に相談するという手もあります。
いずれにせよ、自分一人で解決しようとしたり、勝手にゴミを処分するのは避けた方が良いと言えます。
家の近くにゴミ屋敷があって困っている